【詳細解説】Claude CoworkのHR(人事)プラグイン—採用から退職まで、4つの構成要素で読み解く

Claude

Claude Coworkの公式プラグインは現在24種類。今回は採用・オンボーディング・評価・給与分析・ポリシー案内といった人事業務全般を自動化するHR(Human Resources)プラグインを取り上げ、「スキル」「コネクタ(MCP)」「スラッシュコマンド」「サブエージェント」の4つの構成要素ごとに具体的に解説します。

HRプラグインは2026年2月24日にリリースされ、GitHubでオープンソース公開されています。採用・オンボーディング・評価・給与・組織設計など、従来なら数十分かかっていた人事作業をコマンド一つで完遂できるのが特徴です。


① スキル(Skill)—人事の「専門知識」を9種類のファイルで定義

スキルは、Claudeが人事業務を遂行するために必要な手順・判断基準・出力フォーマットを記述したMarkdownファイルです。会話の文脈からClaudeが自動で判断して参照するため、ユーザーが明示的に呼び出す必要はありません。HRプラグインには以下の9つのスキルが含まれています。

  • 給与分析(comp-analysis):役割・レベルごとの給与ベンチマーク、給与バンドへの配置、エクイティモデリングの手法を定義。「この役職の相場は?」「このオファーは市場競争力があるか?」に即答できるルールセット。
  • 採用通知書作成(draft-offer):基本給・株式・サインオンボーナスを含む報酬パッケージの組み立て方と、採用通知書の文章構成を定義。交渉ガイダンスの生成手順も含む。
  • 面接準備(interview-prep):コンピテンシーベースの面接質問と評価シート(スコアカード)の作成ルール。「○○職の面接計画を作って」という一言で構造化された面接プランが出力される。
  • オンボーディング(onboarding):入社前タスク(アカウント発行・機材手配・バディ設定)、Day 1・Week 1のスケジュール、30/60/90日目標の設定フレームワークを定義。
  • 組織設計(org-planning):ヘッドカウント計画・組織設計・チーム構造の最適化手順。「次に誰を採用すべきか」「報告ラインをどう設計するか」を整理するためのフレームワーク。
  • 人事評価(performance-review):自己評価テンプレート・マネージャーレビューテンプレート・キャリブレーション準備の作成ルール。曖昧なフィードバックを具体的な行動事例に変換する手順も含む。
  • ポリシー参照(policy-lookup):PTO・リモートワーク・経費・育休など各種社内ポリシーを平易な言葉で説明する手順。「〇〇のポリシーは?」という問いに即答できる。
  • 採用パイプライン管理(recruiting-pipeline):ソーシング・スクリーニング・面接・オファーの各ステージの進捗追跡と候補者ステータス管理の手順。
  • 人員レポート(people-report):ヘッドカウントスナップショット・離職傾向・多様性指標・スパンオブコントロール分析のレポート生成手順。

② コネクタ(Connector / MCP統合)—HRツールへの「直通接続」

コネクタは、MCP(Model Context Protocol)経由でClaudeが外部ツールのデータにリアルタイムアクセスするための接続設定です。HRプラグインが標準で接続する6つのツールを以下に示します。

コネクタHRプラグインでClaudeができること
Slack採用通知・オンボーディング連絡・チームアナウンスの自動送信、HR関連スレッドの検索・要約
Google Calendar面接スケジュールの確認・調整、オンボーディングイベントの自動登録
Gmail採用候補者へのメール送受信、リファレンスチェックメールの下書き・送信
Notion採用要件・オンボーディングドキュメント・評価フォームの作成・更新
Atlassian(Jira/Confluence)採用タスクのチケット管理、HRポリシーのConfluageページ参照・更新
Workday / Greenhouse候補者ステータスの取得・更新、社員データの参照、採用パイプラインの同期

たとえば採用通知書を作成する際、Claudeはコネクタ経由でGreenhouseの候補者情報を取得し、Notionの社内給与バンドを参照しながら通知書を作成し、最終的にGmailで候補者に送信するまでを一気通貫で処理します。


③ スラッシュコマンド(Slash Command)—人事ワークフローをワンタッチ起動

スラッシュコマンドは /hr:コマンド名 と入力するだけで、定義済みの人事ワークフローを即時起動できる機能です。HRプラグインの主なコマンドを紹介します。

  • /hr:write-job-description:役職名・レベル・必須スキルを入力すると、GreenhouseやLinkedInに掲載できる水準の求人票を即座に生成。DEI配慮のある言い回しチェックも自動実行。
  • /hr:draft-offer-letter:候補者名・役職・給与条件を渡すと、報酬パッケージ全体(基本給・株式・ボーナス)を整理した採用通知書の下書きをNotionに生成。交渉ポイントのガイダンス付き。
  • /hr:onboarding-kit:新入社員の名前・役職・入社日を渡すと、入社前チェックリスト・Day 1スケジュール・30/60/90日目標・バディ候補リストを含むオンボーディングパックをNotionに作成し、関係者にSlackで通知。
  • /hr:interview-plan:採用ポジションを指定すると、コンピテンシーリスト・面接官ごとの質問セット・評価スコアカードを一括生成。面接スケジュールをGoogle Calendarに自動登録するオプションも付属。
  • /hr:performance-review:評価対象者と四半期の目標一覧を渡すと、自己評価テンプレート・マネージャーレビュー・キャリブレーション用のレーティング分布案を同時生成。
  • /hr:policy-lookup:「育休は何日取れる?」「リモートワークの申請方法は?」などの自然言語の質問に、Confluenceの社内ポリシーを参照した平易な説明で回答。

④ サブエージェント(Sub-agent)—人事フェーズを分担する「専門Claudeチーム」

サブエージェントは、特定の人事フェーズに特化した権限・プロンプト・ツールアクセスを持つ独立したClaudeのインスタンスです。HRプラグインでは、採用・評価・報酬など複数のフェーズを並行して扱えるよう、役割別のサブエージェントが用意されています。

  • 採用コーディネーターエージェント:Greenhouse・Gmail・Google Calendarへのアクセス権を持ち、候補者とのコミュニケーション・面接調整・ステータス更新に専念。メイン会話とは独立して採用フローを進め、次のアクションが必要なタイミングでHR担当者に通知します。
  • 給与アナリストエージェント:社内給与データとNotionの報酬バンドにのみアクセスし、給与ベンチマークとオファー条件の妥当性チェックに特化。機密性の高い給与情報を他のエージェントと分離して扱うことでセキュリティを確保します。
  • オンボーディングマネージャーエージェント:Notion・Slack・Google Calendarにアクセスし、入社前〜30日目までのオンボーディングタスクの進捗を追跡。期限が迫ったタスクを自動でリマインド送信し、完了状況をドキュメントに反映します。
  • ポリシーアドバイザーエージェント:Confluenceの社内ポリシーページへの読み取り専用アクセスを持ち、ポリシー関連の質問に特化して回答。他の業務への干渉なく、HR担当者・従業員・マネージャーからの問い合わせを処理します。

4要素が連携する全体像—採用から内定通知まで

以下は /hr:draft-offer-letter を起動したときの4要素の連携フローです。

  1. HR担当者が スラッシュコマンド /hr:draft-offer-letter に候補者名・役職を入力
  2. サブエージェント(採用コーディネーター)コネクタ(Greenhouse) から候補者の選考情報を取得
  3. サブエージェント(給与アナリスト)コネクタ(Notion) の給与バンドを参照し、オファー条件の妥当性を確認
  4. スキル(draft-offer) に従い、基本給・株式・ボーナスを整理した採用通知書の下書きを生成
  5. 完成した通知書をNotionに保存し、承認依頼をSlackに自動送信
  6. 承認後、コネクタ(Gmail) 経由で候補者に通知書を送付

HR担当者はコマンド一つ入力するだけで、通常なら30分以上かかる一連の作業がClaudeによって自律実行されます。


まとめ:HRプラグインの構成要素一覧

要素HRプラグインの主な内容
スキル9種給与分析・採用通知・面接準備・オンボーディング・組織設計・人事評価・ポリシー参照・採用管理・人員レポート
コネクタ6種Slack / Google Calendar / Gmail / Notion / Atlassian / Workday・Greenhouse
スラッシュコマンド6種以上/hr:write-job-description /hr:draft-offer-letter /hr:onboarding-kit など
サブエージェント4種採用コーディネーター / 給与アナリスト / オンボーディングマネージャー / ポリシーアドバイザー

HRプラグインのソースコードは GitHub(anthropics/knowledge-work-plugins) でオープンソース公開されており、自社のHRISや採用ツールに合わせてコネクタをカスタマイズできます。インストールはClaudeデスクトップアプリのCoworkタブ → Plugins から行えます。

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